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昭和ノスタルジーという幻想

「昭和を懐古するとは、どういうことか?」

  平成へと年号が変わり、いつの間にか四半世紀が過ぎた。ここから60余年という長い昭和の時代を振り返るには、どうも幾ばくか距離があるようで、客観的に正視するよりもファンタジーという色紙を通してみた方が、手元にすんなり引き寄せやすい気がする。というのはどうも言い訳で、昔を振り返るにはいつも余計なものが入り込んでしまうものだ。
  しかし昭和という時代には、まだ本当の闇が存在していた。手に触れられないもの、目に見えないものが大きな闇として人々の中に存在していた。人がふっと隠れられるほどの闇が、街の中に点在していた。風や猫や人間やなにか得体の知れないものたちが入り込む、そんな隙間がそこいらじゅうにあったのだろう。

  昭和を懐古するとは、一体どういうことか。いつの時代にも闇はあるが、今振り返る昭和の闇だ。その闇を本当だと信じることの出来た何かがあったのだ。 懐かしいだけではない、その裏にある、その中にある、その先にある薄暗い闇を描く作家たちがいる。 けれど闇は決して、怖いだけの存在ではない。時にはあたたかく覆いかぶさることもある。子どもの足下にそっと寄り添うこともあるだろう。

  高度経済成長の影に、経済に取り残される人々や、無造作になくなっていく雑木林などの自然、戦争の臭いが消えきらない街、それこそ闇に隠されるようなものたちがあった。テーマはただの懐古主義ではない。作家独自の視点から昭和のある部分を切り、その幅広い視点から集まった作品を介して、スパンアートギャラリーとしての昭和ノスタルジーの検証としたい。

井上洋介

2013年7月企画展「昭和ノスタルジー幻想」より ※題字:井上洋介/スパンアートギャラリー

 

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